茶園のリセットは、未来への投資。美味しいお茶を30年先まで届けるための挑戦
茶園の風景を眺めていると、いつも変わらない緑が広がっているように見えるかもしれません。
しかし、実はその裏側で、自分たちは「改植(かいしょく)」という、非常に手間も時間もかかる決断をすることがあります。
今ある木でお茶の収穫を続ければ、目先の収穫は安定します。
それでもあえて、古い木を抜き、1から新しい苗を植えるのはなぜか。
今回は、自分たちが30年、50年先を見据えて取り組んでいる「改植」の裏側にある6つの理由をお話しします。
1. 木の若返りと生産性の維持
茶の木は永年作物で、40年、50年と生き続けます。
しかし、人間と同じように、高齢になるとどうしても「勢い」が衰え、収穫量や品質が低下してしまいます。
新しい苗に更新することで、樹勢(木の勢い)を復活させ、最高品質のお茶を安定して育てる土台を作ります。
2. 時代のニーズに合わせた「品種」への更新
お茶の世界にもトレンドがあります。
最近では「香り」が良いものや「色」が鮮やかなものが好まれる傾向にあります。
市場や皆さんの好みに合わせて、最適な品種に切り替えることも、改植の大きな目的です。
ただし、お茶が成園になるまでに5年かかります。
今のトレンドが5年後まで続いているかはわかりません。
流行りを見るのは大切ですが、お客さんに提供するに値する、長期計画で自園にあう品種を選ぶことが大切です。
3. 作業の効率化の対応
自分たちの茶園では、1人で作業ができる「乗用型摘採機」を導入しています。
古い茶園の形では機械が入りにくい場合もありますが、改植のタイミングで「機械が走りやすい設計」に畑を作り直すことで、より丁寧に、効率よくお茶を管理できるようになります。
機械に優しい畑は人間にも優しいので、長期的に管理のしやすい茶園になります。
4. 病害虫や気候変動への対策
近年、温暖化の影響もあり、病害虫の発生状況も変わってきています。
最新の品種は、特定の病気に強かったり、厳しい環境でも育ちやすかったりと、環境適応能力が高いものが増えています。
これらを導入することで、農薬の使用を抑えつつ、健康な木を育てることができます。
5. 経営の安定とリスク分散
特定の品種(例えば「やぶきた」など)だけに頼っていると、収穫時期が重なりすぎて管理が行き届かなかったり、万が一その品種に弱い病気が流行った時に大打撃を受けてしまいます。
収穫時期の異なる品種をバランスよく配置することは、経営上のリスク分散にも繋がります。
6. 品質向上と「自分たちの味」の差別化
自分たちのような個人農家にとって、大手と同じものを作っていては生き残れません。
改植を通じて、他にない個性的な品種を育てることで、「ここでしか味わえないお茶」という価値を追求しています。
改植をしてからお茶が収穫できるようになるまでには、約3〜5年という長い月日がかかります。
その間、その畑からの収入はゼロ。それでも挑戦し続けるのは、ただ一つ、「本当に美味しいお茶を届けたい」という一心からです。
新しく植えた苗が成長し、皆さんの湯呑みに届く日を楽しみに、自分たちは今日も土を耕し続けます。自分たちが丹精込めて育てた「未来のお茶」、ぜひ楽しみにしていてください。
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